引っ越しは、新生活へのスタートライン。
しかし毎年、追加料金や見積もり相違をめぐるトラブルが後を絶たない。
国民生活センターへの苦情件数は、年間数千件にのぼる。
「思っていたより高かった」「当日に問題が起きた」という声は珍しくない。
STEP 1:見積もりは「訪問」で取るのが基本
引っ越しトラブルの根本原因の多くは、荷物量の誤認識にある。
電話やオンラインだけの見積もりでは、情報が不十分になりやすい。
可能であれば、業者に自宅まで来てもらう訪問見積もりを選ぼう。
実際に家の中を確認することで、ベランダの物置・押入れ奥の季節用品・天袋の荷物など、申告漏れになりやすい場所も含めて正確に把握できる。
STEP 2:見積もり書で「追加料金になる項目」を書面確認する
「含まれていると思っていた」は、引っ越しトラブルの典型的な誤解だ。
エアコンの脱着・家具の分解組み立て・照明の取り外しなどは、多くの場合オプション扱いになる。
見積もり書に「オプション料金一覧」を明記してもらい、口頭説明だけで終わらせないことが重要だ。
あわせて、キャンセル料の発生条件・補償の適用範囲も書面で確認しておこう。
STEP 3:よくある追加料金の発生パターンと防止策
追加料金のトラブルには、共通したパターンがある。
あらかじめ知っておくだけで、多くのケースは未然に防ぐことができる。
① 荷物量の申告ミス・当日発覚
最も多い原因が、荷物量の申告漏れだ。
ベランダの物置・押入れ奥の季節用品・天袋の保管品など、見落としやすい場所が多い。
「大体このくらい」という感覚での申告が、当日トラックに全ての荷物が載りきらない事態につながる。
その結果、追加便の手配と費用が発生するケースが後を絶たない。
訪問見積もりで業者と一緒に家全体を確認するのが、最も確実な防止策だ。
② 建物条件の相違
階段のみ・通路が狭い・段差が多いなどの条件が事前に伝わっていないと、当日追加費用が発生しやすい。
特にマンションでは、エレベーターのサイズ(奥行き・幅)の確認が欠かせない。
大型家具が入らず人力搬入に切り替えとなれば、追加作業費が生じることもある。
旧居・新居の搬入口や廊下の写真を業者へ事前に送り、認識のズレをなくしておこう。
③ オプション作業の認識違い

エアコンの脱着・照明器具の取り外し・家具の分解組み立てなどは、多くの場合オプション扱いだ。
「基本料金に含まれる」と思い込んでいると、当日に想定外の請求を受けることになる。
見積もり書に「オプション料金一覧」を明記してもらい、後から「言った・言わない」のトラブルを防ごう。
④ 繁忙期・時間帯トラブル
引っ越しの繁忙期は3〜4月と、大型連休前後だ。
この時期は業者のスケジュールが立て込み、午前の遅れが積み重なって午後便が夜間対応になることもある。
夜間作業には時間外料金・追加人員費が発生する場合があるため、繁忙期は特に余裕ある日程を組もう。
また、時間外料金の発生条件を事前に書面で確認しておくことも重要だ。
STEP 4:予期せぬトラブル発生時の対処法
準備を尽くしても、想定外の出来事は起きることがある。
そのときに慌てず対応できるかどうかが、被害の大小を左右する。
以下の4つのケースと対処法を、あらかじめ頭に入れておこう。
① エレベーターの故障
当日突然エレベーターが故障すると、全作業が階段搬出に切り替わる。
その結果、想定外の人件費・時間コストが追加請求の対象になることがある。
契約時に「エレベーター使用不能時の料金扱い」を確認しておくことが重要だ。
書面に明記されていれば、当日のトラブルでも冷静に対処できる。
② 新居前の駐停車・横持ち距離が長くなった

新居前の道路が混雑していてトラックが近くに停められない場合、横持ち距離(荷物を”横方向に長い距離”運ぶ距離のこと)が長くなる。
距離に応じた追加作業費が発生するケースがある。
一軒家でも、近隣への配慮と駐車スペースの事前確保は欠かせない。
対策の手順は次のとおりだ。
- 引越し日前に管理会社・町内会へ駐車スペース使用の許可を取る
- 必要に応じてカラーコーンでスペースを確保する
- 近隣住民へ搬出入の日時を事前に伝える
こうした地道な準備が、当日のスムーズな作業を支える。
③ 天候トラブル・道路の通行障害
大雨による浸水、落石、土砂崩れ、通行止めなど、天候や道路事情による障害は予測しにくい。
特に客側からのキャンセルや変更は追加料金となる。
一方で、業者からのキャンセルは無料で対応してもらえる場合も多い。
どのような契約内容かは、事前に確認しておきたい。
④ 地震などの災害発生時
作業中に地震が発生した場合、何よりも安全確保が優先だ。
無理な作業続行は、家財破損のリスクだけでなく、人的被害にもつながる危険がある。
作業を一時中断・中止する判断を、業者と素早く共有することが重要だ。
あわせて、「運送保険」と「家財保険(火災保険の家財補償)」の両方の補償内容を事前に確認しておこう。
保険証券や契約書の控えは、引っ越し当日も手元に置いておくと安心だ。
STEP 5:トラブルが起きたら
トラブル発生時の初動マニュアル
問題が発生したときの初動が、その後の解決スピードを決める。
感情的に交渉するより、冷静に記録と書面をもとに進めることが最も有効だ。
対応の手順は次のとおりだ。
- 作業員または現場責任者に、その場で問題を伝える
- 写真・動画で状況をすぐに記録する
- 会社の営業所・コールセンターに正式な連絡をする
- 見積書・契約書をもとに冷静に交渉する
- 解決しない場合は「消費生活センター(☎ 188)」に相談する
大阪市消費生活センターでは、引っ越しに関する相談窓口を常設している。
トラブルを抱えたまま放置するより、早めの相談が解決を早める近道だ。
まとめ
- 訪問見積もりで荷物量・建物条件を正確に把握する
- 見積書に追加料金の発生条件を書面で明示させる
- 繁忙期・時間帯リスクを考慮した余裕ある日程を組む
- 当日トラブルはその場で記録・申告する
- 業者の補償範囲を事前に書面で確認する
引っ越しは、ただの荷物の移動ではない。
家族の生活と思い出を、新しい場所へ運ぶ大切な節目だ。
準備を怠らず、確認を重ね、笑顔で新生活のスタートを切ろう。


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